大分ホームヘルパー訪問介護のみかた介護支援コンサルタントの秦です。
今日は介護とは少し遠いと思われているマーケティングの話です。
お昼の訪問。
今日のサポートは入浴介助。
玄関のチャイムを鳴らすと、ご利用者さんの娘さんが少し不安そうな顔で出てきた。
「昨日、明日はお風呂に入りたくないって言っていたので、もしかしたらお風呂の拒否があるかもしれません。」
そう言われた瞬間、ヘルパーはそっと笑って答える。
「じゃあ、今日はいつもより様子をよく見てお話ししてみますね。」
その笑顔に、娘さんの表情がやわらぐ。
何気ないやりとり。
けれど、その瞬間に信頼が生まれている。
この小さな積み重ねこそが、ホームヘルパーという仕事の“ブランド”だとしたら・・・。
実は、これこそがマーケティングの本質なんです。
■「マーケティング=売り込み」ではない
「介護にマーケティングなんて必要あるの?」
そう思う人もいるかもしれません。
けれどマーケティングとは、“どう売るか”ではなく、“なぜ選ばれるのか”を考えること。
誰かの困りごとを見つけ、どうすればそれを解決できるかを追いかける営みです。
つまり、介護の現場そのものが、すでにマーケティングの最前線なんです。
■「誰からも選ばれたい」ではなく、「この人に選ばれたい」
介護の仕事をしている人は、みんな優しい人は多いです。
また誰よりも一生懸命に、人のために動いていると思っています。
でも、制度も料金も似ている中で、「どこも同じに見える」と言われてしまう。
だからこそ、自分たちの“想い”を言葉にすることが大切です。
「どんな方を支えたいのか」
「どんな瞬間に喜びを感じるのか」
その答えこそが、あなたの仕事の“選ばれる理由”になる。
誰にでも好かれようとすると、想いは薄まります。
けれど、「この人に届けばいい」と願って語る言葉は、必ず誰かの心に届く。
それが、本当のマーケティングです。
■“伝える”より、“見つける”が先
「もっと利用者さんを増やすには?」
そう考えると、つい“どう伝えるか”を工夫しようとしてしまいます。
でも、本当に大切なのは、“何を伝えるか”を見つけること。
たとえば、報告を欠かさないスタッフ。
ちょっとした異変に気づき、すぐ共有するチーム。
「無理かもしれない」と思うことでも、できる方法を探す人。
こうした“当たり前”の中にこそ、他にはない価値があります。
その価値を言葉にできるかどうか。そこに、選ばれる力が生まれます。
マーケティングとは、あなたの優しさを“伝わる形”にすること。
つまり、想いを社会の言葉に変える力です。
■理念と利益は、同じ方向を見ている
介護の仕事に「お金の話」は馴染まない、と思う人もいるでしょう。
けれど、理念と利益は対立するものではありません。
むしろ、理念を守るためにこそ、利益が必要です。
事業が続くことで、利用者を守れる。
スタッフの安心があるから、いい介護ができる。
利益は、優しさを循環させる燃料です。
誠実な人が報われること。
それが、正しい介護の仕組みです。
■「無理なお願い」は未来へのヒント
「この日だけ、ちょっと早く来てもらえませんか?」
「夜の見守り、少しだけ延長できませんか?」
現場では、そんな“無理なお願い”がよくあります。
その一つひとつの裏には、利用者や家族の“本音”があります。
なぜその時間なのか?
どんな不安があるのか?
そこを丁寧にくみ取り、できる方法を考える。
それが、他の事業所にはできない“あなたらしい支援”につながるのです。
マーケティングとは、「できません」を「できるかもしれない」に変える思考法。
人の願いを仕組みに変える力なのです。
■スタッフ一人ひとりが、“理念の代弁者”になる
介護の現場では、一人の行動が会社の印象を決めます。
だからこそ、理念を全員で共有することが大切です。
「できない理由」よりも「できる方法」。
「業務」よりも「人の安心」。
そんな共通の姿勢が、チーム全体を強くします。
理念はポスターではなく、日常のなかに息づくもの。
それが伝わる組織は、利用者にも不思議と安心を与えます。
■「介護の当たり前」を一度、疑ってみよう
介護の世界には、たくさんの“当たり前”があります。
「訪問時間はこうあるべき」
「サービスはこうしなければならない」
でも、その枠の中に、本当に利用者の幸せはあるでしょうか?
制度の中で工夫する余地は、まだまだあります。
「できない」を「できる」に変えるのは、熱意と発想。
それが現場の知恵であり、誇りです。
■マーケティングとは、“想いを言葉にする”こと
マーケティングは、テクニックではありません。
心の奥にある「こうありたい」という想いを、社会に伝えるための言葉を探すこと。
その言葉が整えば、あなたの介護はもっと伝わる。
利用者も家族も、あなたの想いに安心して身をゆだねるようになる。
介護の仕事は、静かで、でも深く人の人生を支える仕事です。
だからこそ、どう伝えるかを大切にしたい。
“売る”のではなく、“選ばれる”。
それは、あなたの優しさを正しく届けるための心の技術です。
介護の現場にこそ、マーケティングの心を。
それは、想いを続けるための哲学です。
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