2026年8月27日、ホルトホール大分 小ホールで開催された
パネルディスカッション「高齢者の孤独・孤立対策を考える」に、弊社代表の秦がパネリストとして登壇しました。
大分市議会議員2名、
大分県社会福祉士会の会長、
終活支援団体の代表の皆さまと、
「誰ひとり取り残さない地域社会」をテーマに話し合いました。
一つ目のテーマは、
「一人暮らしの高齢者のお宅を訪問する中で、どのような困りごとや変化を感じていますか?」でした。
秦の回答です。
私は訪問介護事業を行っているので、おそらくこの中では一番高齢者の方と密に関わっていると思います。
その中での変化をお伝えしたいと思います。
変化ということなので、コロナ前とコロナ後での変化をお伝えします。
大きく変わったのは3つです。
以下のように文章にまとめました。
一つ目は70代で介護サービスを利用する人が増えたことです。
今までは80代、90代が多かったのが最近70代の方が増えている。
第1次ベビーブームの方が75歳を超えたのが一つの原因ではないかと思っています。
二つ目の問題は、施設に入居したものの、利用料金が高くなったことで、自宅へ戻る方が増えていることです。
せっかく施設で多くの人と一緒に生活していたのに、自宅へ帰ると一人になってしまいます。
そうなると、一気に孤独感が高まる可能性があります。
今後は、施設から自宅へ戻る方への対応も考えていかなければなりません。
ここまでは少し暗い話でしたが、三つ目は良い話です。
スマートフォンを使える高齢者が増えました。これは非常に大きな変化です。
現在、92歳のおばあちゃんにスマートフォンでYouTubeを見る方法をヘルパーの訪問時に伝えました。(ご家族には伝えています)
今では自分でYouTubeを見ることができ、
先日、私が訪問すると「秦さん、このヘビの動画がいいから、秦さんも見たほうがいいよ!」と教えてくれました。
先ほどのお話にもあったように、「誰とつながるか」はとても大切です。
人とのつながり方には、実際に会う「リアル」と、オンラインで交流する「リモート」があります。
もちろん、実際に人が集まることも大切ですが、高齢者がリモートで交流できる仕組みもつくれないかと考えています。
例えば、スマートフォンを使い、お孫さんと会話をしながら一緒にゲームができれば、とても楽しいのではないでしょうか。
介護の現場にいて感じるのは、高齢者のなかには、一人で過ごすこと自体が嫌いではない方も多くいらっしゃるということです。
しかし、誰ともつながっていない状態になると、孤独を感じてしまいます。
人とつながる方法は、直接会うことだけではありません。
リモートという形でも誰かとつながれる環境をつくっていくことが、これから必要になるのではないかと思っています。
二つ目のテーマは
「訪問介護の現場から見て、介護保険だけでは支えきれない課題には、どのようなものがありますか。」というものでした。
ここが、現場では非常に難しいところです。
介護保険という制度は、もちろん必要です。
ただ、制度には必ず「ここまではできます」、「ここからはできません」という境界があります。
ところが、人間の生活には境界がありません。
例えば、「病院についてきてほしい」、「この書類、何が書いてあるか分からない」、「入院することになったけど、誰に相談すればいい?」、「緊急連絡先を書いてくださいと言われたけど、書く人がいない」こういう問題です。
本人にとってみれば、介護なのか、医療なのか、行政なのか、法律なのか、そんなことは関係ありません。 ただ、目の前で困っている。 これが事実なんです。
でも支援する側は、それを制度ごとに分けなければなりません。
私は、ここに大きな課題があると思っています。
私たちは「高齢者」「要介護者」「独居」「認知症」といった言葉で、その方を見てしまうことがあります。
でも、実際にそこにいるのは、「高齢者」という人ではありません。 一人の人間です。
その人に問題がたくさんあるのではなく、
私たちが一人の人間の生活を、制度ごとに切り分けて見ているだけかもしれない。
その人には、それまで生きてきた人生があって、仕事があって、家族があって、好きだったことがあって、誇りもあります。
だから私は、
制度に人を合わせるのではなく、人を中心に制度や地域がつながっていく。
そういう発想が必要だと思っています。
介護だけで解決できなければ医療につなぐ。
財産管理なら専門家につなぐ。
終活なら終活の専門家につなぐ。
そして行政や地域にもつないでいく。
今日ここには、市議会議員の方がいて、社会福祉士の方がいて、終活の専門家がいて、そして私たち介護の人間がいます。
私は、この光景は非常に象徴的だと思っています。
これから必要なのは、一人の万能な支援者をつくることではありません。
「それは私にはできません」で終わるのではなく、「それは私にはできない。でも、できる人を知っています」と言える関係を地域につくっておくことです。
そう考えると、孤独・孤立対策というのは、「孤立した人をどう助けるか」という話だけではありません。
もっと手前にある、人と人、人と制度、制度と制度の間に、どれだけ接点をつくっておけるか。
私は訪問介護の現場から、そこが一番大切だと感じています。
孤独や孤立を防ぐために、今日、この会場にいる私たちが明日からでもできることを、ひとつ挙げるとしたら何でしょうか?
私は、孤独・孤立を防ぐために一番大切なのは、「助けること」よりも「つながっておくこと」だと思っています。
人は、本当に困ってから突然「助けてください」とは、なかなか言えません。
だから、困ってから支援するのではなく、困る前から顔の見える関係をつくっておく。
そして大切なのは、誰か一人が全部を背負わないことです。
医療、行政、専門家、介護そして地域の人たちが、それぞれのできることを持ち寄る。
「誰が支えるか」ではなく、「みんなでどうつながるか」。
私は、それが誰ひとり取り残さない地域をつくる第一歩だと思っています。
※
今回はパネルディスカッションという貴重な体験をさせてもらいました。
主催の、一般社団法人終活みんなのひろばのみなさん、ありがとうございました。
大分市の訪問介護事業所として、孤独や孤立に対して、これからも考えて行きたいと思います。
開催日時:令和8年8月27日(木)
場所:ホルトホール大分 小ホール
パネリスト:岩川よしえ大分市議会議員、進よしかず大分市議会銀、末永浩二(末永社会福祉事務所代表・大分県社会福祉士会会長)、高橋英一郎(株式会社ファイナンスブレーン代表、一般社団法人終活みんなのひろば理事長)、秦邦仁(株式会社クローバー代表)
主催:一般社団法人終活みんなのひろば 








