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 感動的な話

2011/06/29
★介護士日記
先日、ある方の講演会を聞きに行ったときに話されていた内容です。

少し長いですが、感動できる内容です。

小学校で5年生の担任をしていた教師の話です。
その先生は、小学校5年生の担任になった時、
自分のクラスの中に一人、どうしても好きになれない少年がいました。
服装が不潔でだらしなく、好きになれなかったのです。

先生は、中間記録に、少年の悪いところばかりを記入するようになっていました。
ところが、ある時、少年の1年生からの記録が目に止まりました。
1年生の時は、
「朗らかで、友達が好きで、親切。勉強もよくでき、将来が楽しみ」
と記録されていました。
「間違いだ。他の子の記録に違いない。」と、先生は思いました。
2年生になると、
「母親が病気で世話をしなければならず、時々遅刻する」
と記録されていました。
3年生では、
「母親の病気が悪くなり、疲れていて、教室で居眠りする」
3年生後半の記録では、
「母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる」
4年生になると、
「父は生きる意欲を失い、アルコール依存症となり、子どもに暴力をふるう」
先生の胸に激しい痛みが走りました。
ダメと決めつけていた子が突然、
深い悲しみを生き抜いている生身の人間だと感じられたのです。
先生にとって、目を開かれた瞬間でした。

放課後、先生は少年に声をかけました。
「先生は夕方まで教室で仕事をするから、あなたも勉強していかない?
分からないところは教えてあげるから。」
少年は初めて笑顔を見せました。
クリスマスの午後、少年が小さな包みを、先生の胸に押しつけてきました。
あとで開けてみると、香水の瓶でした。
亡くなったお母さんが使っていたものに違いない。
先生はその一滴をつけ、夕暮れに少年の家を訪ねました。
一人で本を読んでいた少年は、
先生に気がつくと飛んできて、先生の胸に顔を埋めて叫びました。
「ああ、お母さんの匂い!きょうは素敵なクリスマスだ!」
6年生の時、先生は少年の担任ではなくなりました。
卒業の時に、少年から一枚のカードが届きました。
「先生は僕のお母さんのようです。
そして、今まで出会った中で、一番すばらしい先生でした。」

それから6年が経ち、またカードが届きました。
「明日は高校の卒業式です。
僕は5年生で先生に担当してもらって、とても幸せでした。
おかげで奨学金をもらって医学部に進学することができます。」

さらに10年が経ち、またカードが届きました。
そこには、先生と出会えたことへの感謝と、
父に叩かれた体験があるから
患者の痛みがわかる医者になれると記され、こう締めくくられていました。

「僕はよく5年生の時の先生を思い出します。
あのままダメになってしまう僕を救ってくださった先生を、
神様のように感じます。
大人になり、医者になった僕にとって最高の先生は、
5年生の時に担任してくださった先生です。」

そして1年後、届いたカードは結婚式の招待状でした。
「母の席に座ってください」
と一行、書き添えられていました。

この先生が少年のことを「ダメな子」「だらしない子」だと
決めつけていたときは、この少年のことを好きになれなかったのです。
しかし、少年の心の痛みを理解し共感したことによって、
その少年にとって人生の恩師になるような先生になったのです。

私たちは、目の前の人に対して、
ついつい過去の経験、偏見から「○○な人」という決めつけをしてしまいます。
「ダメな人」「わがままな人」「イヤなやつ」「性格の悪い人」
などレッテルを貼ってしまいます。
それは、その人の奥にある心の痛みを理解できていないだけなのかもしれませんね。
その人の心の痛みに共感し、
その人をまるごと理解してあげることができたら、
その人にとっての“心の支え”になってあげることができるのかもしれません。

読んでいただき、ありがとうございます。

感謝




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秦 邦仁
株式会社クローバー
代表取締役

2011年に大分市で訪問介護サービス「ヘルパーステーション介護のみかた」を開所。自宅で元気に長生きできる独自のシステムを開発し、高齢者の生活をサポートしている。また、介護支援コンサルタントとして、小学校から老人クラブまで年齢層に関係なく介護セミナー活動も行っている。

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