無料採用エントリー

“優しさ”を仕事にする男たち、男性ホームヘルパーという新しい働き方

2025/11/15
訪問介護のみかた

大分ホームヘルパー訪問介護のみかた、介護支援コンサルタントの秦です。

先日、当社に面談に来られた男性の方から

「男性でもホームヘルパーとして働けますか?」と質問を受けました。

確かに介護の仕事と聞くと、多くの人がまだ「女性の仕事」というイメージを抱いているが多いと感じます。

しかし、現場を見渡せばその風景は静かに変わり始めている。男性のホームヘルパーが増えています。

なぜ増えていると思いますか?

それは「力仕事だから」でも、「人手不足だから」でもありません。

ご利用者さんに対する、“優しさの定義”が変わりつつあるからだと思います。

■ある男性ヘルパーの物語



大分市で訪問介護をしている佐藤(仮名)さん(40代)は、かつて建築現場の職人でした。

ある日、腰を痛めて現場を離れざるを得なくなり、「手に職を」と考えて介護の道へ入りました。

最初は周囲の反応が冷たかったといいます。

「男が介護? おむつ交換とか、入浴介助とか、そういうのって無理じゃない?」

家族や友人にそう言われたとき、彼は少し傷つきました。

でも、実際に現場に立つと、思っていた世界とはまったく違っていたのです。

利用者さんが“あなたにお願いしたい”って言ってくれるんです。

体が大きい分、移乗もスムーズにできるし、“安心感がある”って言われる。初めて仕事で人に信頼された気がしました。

彼がホームヘルパーを始めて3年が経ちました。

いまでは、男性利用者の入浴介助を中心に、地域でなくてはならない存在となっています。

彼は笑いながら言います。

「昔は“現場の力仕事”をしてたけど、今も“人の現場”で力を使ってますね。」

■男性だからできる介護がある



介護の現場では、同性介助のニーズが年々増えています。

特に入浴や排泄などの身体介助は、利用者さんにとって最もプライベートな時間です。

男性利用者さんが「女性に介助されるのは恥ずかしい」と感じるのは自然なこと。

そのとき、男性ヘルパーの存在が“安心と尊厳”を守る鍵になります。

また、男性特有の体力や空間認識力が活きる場面も多いです。

在宅でのベッド移乗、入浴時のサポート、生活空間の整理など。

単なる“力仕事”ではなく、“動線を考えながら安全に支援する”という発想が必要になります。

このあたりは、かつての現場職人や物流経験者など、男性ならではのスキルが生きるところです。

■「資格より覚悟」から始まる道



ホームヘルパーになるためには、基本的に「介護職員初任者研修」という資格が必要です。

約130時間の講座を受け、修了すれば晴れて介護職として働けます。

受講費は地域によって異なるが、大分市では平均で5〜10万円前後です。

自治体によっては補助制度があるため、実質まだ安く取得できることもある。(大分市は上限はありますか費用の2/3補助アリ)

しかし、この資格よりも大事なのは「人をサポートする覚悟」です。

介護は、単なるサービス業ではありません。

「その人がその人らしく生きるために何ができるか」を問い続ける仕事です。

この問いに対して誠実であり続けることが、どんな学歴よりも価値を持ちます。

■現場のリアル:やさしさと哲学のあいだ

介護の現場では、想像以上に哲学的な瞬間があります。

例えば、ある認知症の男性利用者が、毎朝「息子に会いに行く」と言って玄関を出ようとします。

スタッフが「今日はやめましょう」と止めると、彼は怒ります。

だが、ある男性ヘルパーは違いました。

「じゃあ、玄関まで一緒に行きましょう。今日もいい天気ですよ。」

彼は利用者さんの“想い”に寄り添いながら、外に出た先で少し話をしてからゆっくり家に戻ります。

その数分の時間が、その人にとっては「息子に会った」に等しい安らぎになります。

介護とは、効率ではなく“関係の技術”なのです。

この「関係の技術」こそ、思行力(思考と行動の融合)を体現する場といえます。

ただ動くのではなく、考えて動く。

ただ優しくするのではなく、“なぜ優しさが必要なのか”を理解したうえで行動する。

そこにこそ、男性ヘルパーの哲学的な役割があると思います。

■社会が求める“新しい男性像”



介護という仕事は、社会が「優しさの形」を問う場所だと思います。

かつて“男らしさ”とは力や競争でした。

しかしこれからの時代、“男らしさ”は共感や思いやりの中にこそ宿ると感じます。

介護現場で働く男性たちは、その新しい形を静かに示しています。

「守る」「支える」「聴く」「寄り添う」、それは弱さではなく、進化の証です。

かつての「働く男」が社会を築いたように、これからは「支える男」が社会を温めていく必要があると思います。

■思行力で生きるということ

ホームヘルパーの仕事を選ぶ男性たちは、単に職を得るのではなく、“生き方”を選んでいます。

思考と行動をつなげる「思行力」は、まさにこの仕事の核です。

考え、動き、また考える。

人を支えながら、自分自身も支えられていることに気づく。

それがこの職業の不思議な循環です。

介護は「優しい人がやる仕事」ではありません。

「優しさを学び続ける人」がやる仕事です。

そしてその道は、男性にも大きく開かれていると思います。

介護支援コンサルタント
秦邦仁

ホームページはこちら
関連記事

秦哲学塾

2018/08/08
【サービス内容】

整理整頓

2016/02/17
★介護士日記

今年は82個むきました。

2018/11/24
★介護士日記

こころのギフト、いただきました!

2020/11/27
★介護士日記
秦 邦仁
株式会社クローバー
代表取締役

2011年に大分市で訪問介護サービス「ヘルパーステーション介護のみかた」を開所。自宅で元気に長生きできる独自のシステムを開発し、高齢者の生活をサポートしている。また、介護支援コンサルタントとして、小学校から老人クラブまで年齢層に関係なく介護セミナー活動も行っている。

お問い合わせこちら

お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ
無料採用エントリー
トップへ戻るボタン