◆介護に関して利用できる主な制度
2000年に介護保険法が施行されて介護保険制度が始まりましたが、利用できる主なものには介護保険のほか、働き方に関する制度もあります。
・高額介護サービス費
介護保険サービスの自己負担割合は原則1割ですが、それでも自己負担額が高額になることがあります。そのため、所得に応じて負担限度額が決められています。
高額介護サービス費とは、1ヶ月に支払った利用者負担の合計が負担限度額を超えたときに、超えた分の払い戻しを受けられる制度です。医療保険の高額療養費の介護版と考えるといいでしょう。
負担限度額は所得の区分によって異なりますが、市町村民税の課税所得380万円(年収約770万円)未満のケースで4万4400円、世帯の全員が市町村民税非課税のケースで2万4600円となっています。
・介護休業
仕事を続けながら親の介護をするには、介護サービスの利用が必要になりますが、介護の相談やサービスの利用手続きのために仕事を休まなければならない状況も発生します。そういった場合に利用したいのが介護休業です。
介護休業は、要介護状態にある家族を介護するための休業制度で、対象となる家族は配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。
利用できる期間・回数は、対象家族1人につき3回まで、通算93日までとなっており、まとめて93日の取得でも、2、3回に分けて取得することもできます。
介護休業期間中は、雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす場合、休業開始時賃金月額の67%が介護休業給付金として支給されます。利用するには休業開始予定日の2週間前までに、勤務先へ書面などで申し出ることが必要です。
・介護休暇
介護休暇は、要介護状態にある対象家族の介護や世話をするための休暇で、労働基準法の年次有給休暇とは個別に取得ができます。対象家族は介護休業と同じです。
取得できる日数は、対象家族が1人の場合は年5日まで、2人以上の場合は年10日までで、1日または時間単位での取得となっています。利用に当たっては書面などの提出に限定せず、口頭での申請も可能です。
介護休業で取得できる日数は最長93日ですので、自分で家族の介護を行うために利用する場合は日数が不足することが考えられます。そのため介護休暇は、介護サービスについての相談や手続きの際に利用したり、通院の付き添いで利用するなど、介護休業とうまく組み合わせることもポイントです。
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高額介護サービス、介護休業、介護休暇
- 2022/05/12
- ★介護士日記
- 秦 邦仁
- 株式会社クローバー
代表取締役
2011年に大分市で訪問介護サービス「ヘルパーステーション介護のみかた」を開所。自宅で元気に長生きできる独自のシステムを開発し、高齢者の生活をサポートしている。また、介護支援コンサルタントとして、小学校から老人クラブまで年齢層に関係なく介護セミナー活動も行っている。
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