貼るアルツハイマー治療薬、薬価収載され発売へ
ノバルティス ファーマ株式会社は、7月19日、軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症の治療薬として、経皮吸収型製剤「イクセロンパッチ」(一般名:リバスチグミン)を新発売した。「イクセロンパッチ」は、アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行を抑制するコリンエステラーゼ阻害薬で、国内で実施されたプラセボとの比較による臨床試験において、認知機能障害の進行を抑制する効果が示された。
同薬は1日1回、皮膚(背部、上腕部、胸部のいずれか)に貼付するアルツハイマー型認知症治療剤としては日本で初めてのパッチ剤。貼り付けるだけという簡便な投与方法により、介護者の服薬管理のサポートや服薬介助の負担を軽減することが期待される。
また貼付の有無や投与量を目で見て確認できるため、服薬遵守や服薬継続にもつながることが期待される。一方で、皮膚を通して薬剤が徐々に吸収されるため、血中濃度の急激な上昇が抑えられ、消化器症状(主に悪心、嘔吐)が軽減される。
同社代表取締役社長の三谷宏幸氏は、「この度のイクセロンパッチの発売により、アルツハイマー型認知症の治療にパッチ剤という新たな選択肢を提供できることを嬉しく思います。この疾患は、患者さんにおいては日常生活を送るために必要な身の回りの動作ができなくなると同時に、患者さんを介護されるご家族の QOLをも低下させることがあります。イクセロンパッチの上市によって、服薬が簡便となり、患者さんとご家族、双方の負担が軽減できることを期待しています」と語った。
なお同薬は、ノバルティス ファーマ社が創製した薬剤で、日本では2007年より小野薬品工業株式会社と共同開発を行ってきたため、小野薬品からも同日、「リバスタッチパッチ」の薬剤名で発売された。効能、用法、薬価などは全く同じものである。
ノバルティス ファーマ「イクセロンパッチ」
小野薬品工業「リバスタッチパッチ」
<イクセロンパッチの概要>
■製品名:イクセロンパッチ4.5mg、9mg、13.5mg、18mg
■一般名:リバスチグミン(Rivastigmine)
■効能又は効果:軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
■用法及び用量:通常、成人にはリバスチグミンとして1日1回4.5mgから開始し、原則として4週毎に4.5mgずつ増量し、維持量として1日1回18mgを貼付する。本剤は、背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。
■承認日: 2011年4月22日
■薬価基準収載日: 2011年7月19日
■薬価:イクセロンパッチ4.5mg 337.20円、9mg 379.70円、13.5mg 407.00円、18mg 427.50円
■発売開始日: 2011年7月19日
◎ノバルティス ファーマ株式会社
◎小野薬品工業